共創型リーダーシップ③事例から学ぶ共創型リーダーシップ【組織開発】

対話を中心とする共創型リーダーシップは、統制型の組織変革やリーダーシップとは異なり、何となく「優しい穏やかなリーダーシップ」と思われる向きもあるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
福井県「野戦病院方式のケアー」に学ぶリーダーシップ
福井県の「野戦病院方式のケアー」の事例を見てみましょう。
(出典:スペシャル企画 2021年5月4日 (火) 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
「福井モデル」は総力戦、病床確保より感染抑制 – COVID-19座談会(福井編)より)
コロナ禍の真っただ中、福井県におけるコロナによる病床逼迫を起こさないための「野戦病院方式のケアー(医師によるトリアージをやるコーディネートセンターの設置や臨時施設の開設など)」がまとまるまでの経緯を、これをリードした福井県医師会会長がお話しされていました。
この一連のプロセスでは他県や特に東京では難しいといわれている行政、国立大学病院、公立病院、民間病院、開業医、災害派遣医療チーム、看護協会などの意思決定者を一堂に集めて議論をするということを2020年4月からやって、その実行案を10月には決定していたというのです。
その議論では、声を張り上げるとか、罵倒するとかが頻繁にあり、要するに侃々諤々の議論が行われたようです。

しかし、そのような議論でも「自宅療養者は出さない」という一点は明確な目標として最初に同意されていたということです。
何を目指すかが最初に同意されていれば、それをどのように達成するかについては、それぞれの立場の主張を表明し、その上で譲るところは譲る、ちょっと我慢すれば済むことは我慢するということを互いが受け入れながら、納得性のある結論を導き出しています。
ですから、いよいよ大変だとなった2021年6月には、福井県知事の迅速なコミットメントと5千万円の補正予算化が迅速に決定されました。
対話のポイント「目標を明確にする」
福井県の事例は、意思決定に重要な影響を与える関係者を一堂に集めた対話です。
実際にこの議論を見ているわけではありませんが、「共創型リーダーシップと対話」でご紹介した4つの要件が満たされた議論でした。

ポイントは、「自宅療養者は出さない」という明確な目標が合意されていたことです。
もちろん対話では、目標やビジョンそのものを改めて合意しなくてはならないということもあります。そのような場合でも4つの要件は大切です。
対話を促進する共創型リーダーシップ
リーダーシップの本質は「目指す目的を実現すること」です。
そして共創型リーダーシップは、目的達成のために対話を促進するリーダーシップの具体的な姿と言えます。
私たちはリーダーシップを「自分が先頭に立ってメンバーに指示命令すること」と思っている節があります。
しかしそれは、自己満足的に「私はリーダーシップを発揮している」と勘違しているだけかもしれません。
リーダーは必要に応じて率先垂範を行います。また、縁の下の力持ち的に行動することが求められるのであれば、サポートに徹すればよいのです。
リーダーの変化がチーム・組織を変える
リーダーとしてより良い(善い)チームや組織をつくろうとするなら、変わるべきは従業員ではなく、リーダー自身です。
チームや組織の環境作りに影響を与えている自分自身に対して、気づきを得ることが大切です。
そしてリーダー自らが率先して従来とは異なる行動を実践することがとても大切です。
リーダー自らがこれまでの当たり前(過去への依存)から脱却する努力をしてこそ、変化が訪れるのではないでしょうか。
共創型リーダーシップ開発に興味がある方へ
共創型リーダーシップ開発にご興味がある方は、共創型リーダーシップ開発研修もあわせてご覧ください。
本研修は、単なるスキル研修ではなく、リーダーとしての「あり方」とメンバー間における「関係性」に焦点を当てたユニークなプログラムです。
「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代においても柔軟に対応できる、ハイパフォーマンスチームを作りたい」
そうお考えの経営者の方や人事担当者の方は、ぜひ下記リンクよりご確認ください。
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コラム④「共創型リーダーシップの開発 前編」はこちら
https://www.being-relation.co.jp/uncategorized/co_creative_leadership_4
コラムの書き手:株式会社Being & Relationシニアパートナー波多江嘉之