心理的安全③|心理的安全をつくるリーダーのあり方【組織開発】

学びのポイント
- 心理的安全は、優しくすることではなく、率直に発言・質問・実験できる環境をつくることである
- 心理的安全とアカウンタビリティは両立する
- リーダー自身が「分からない」と認め、問いかけ、聴くことから始まる
管理者が、内省や探求、コラボレーションよりも、判断のしやすさや効率性、目に見える行動を重視し、評価のポイントにしたいと考えるのは、それらのほうが分かりやすいからです。
一方で、「やって失敗したらどうなるのか」という不安がある環境では、意見を言ったり、質問したり、新しいことを試したりするリスクを避けるようになります。
さらに、周囲にも同じような慎重さを求めるようになり、組織は次第に閉鎖的な「タコつぼ状態」に陥ります。
その結果、むしろ業務の品質が低下してしまうこともあります。
NASAのチャレンジャー号・コロンビア号事故では、技術的な要因に加え、「現場の懸念が上層部に届かない文化」が悲劇につながったと指摘されています。
心理的安全の重要性を考えるうえで、象徴的な事例の一つです。
※この2つの事故に共通する現象については、研究者によって異なる概念で説明されています。
ダイアン・ヴォーンは、重大な結果が起きない状態が続くことで逸脱に慣れてしまうことを「逸脱の標準化」と呼びました。
また、アービン・ジャニスは、集団の中で批判的な検討が行われにくくなる現象を「グループシンク(集団浅慮)」と呼んでいます。
心理的安全とアカウンタビリティは両立する

心理的安全を高めると、社員のアカウンタビリティ(結果への責任)が低くなるのではないか、と考える向きもあります。
しかし、エドモンドソンによれば、心理的安全とアカウンタビリティは両立するものです。
そのためのポイントとして、次の3つが挙げられます。
- 個人としての知識の限界を認める
- 野心的な目標を設定する
- 相互に質問することを奨励する
これにより、厳しいフィードバックや困難な議論も可能になり、学習志向の組織が生まれていきます。
心理的安全をつくるミドルマネジャーの2つの行動
心理的安全をつくるうえでは、ミドルマネジャーの貢献がカギを握ります。
中でも重要なのが、次の2つのシンプルな行動です。
1.「分からない」と認める
1つ目は、チームや部門が直面している難題に答えがなければ、それを率直に認めることです。
ミドルマネジャー自身が「私も分からない」と認めることで、すべての答えを上司が持っているわけではないことを示し、メンバーも意見や疑問を口にしやすくなります。
2.質問し、相手の話を聴く
2つ目は、質問することです。
疑問に思うことを率直に問いかけ、相手の話を聴くことが大切です。
部下にとって、上司が自分の話を聴こうとし、その意見を尊重してくれると感じられれば、発言や提案もしやすくなります。
心理的安全は、単に部下に優しく接することで生まれるものではありません。
リーダー自身が分からないことを認め、問いかけ、相手の声に耳を傾けるといった日々の関わりが、心理的安全の土台になります。

まとめ|心理的安全を「学習」につなげる
エドモンドソンは、業務効率を重視すること自体を否定しているわけではありません。
業務遂行が最重要となる職場、たとえばコールセンターやファストフードなどでは、効率は依然として不可欠です。
しかし、そのような効率重視の現場であっても、改善や進化には社員の学習が欠かせません。学習が止まれば、組織は次第に硬直化していきます。
現代の組織では、上司がより権限移譲を進め、問いを投げかけ、考え方ややり方の柔軟性を重視することで、部下の業務遂行も学習志向へと変化していきます。
そして、自分たちのアイデアが歓迎されると感じられれば、部下はコスト削減や品質改善につながる新たな方法を提案しやすくなります。そうした積み重ねが、組織の成功を支える基盤を強くしていくのです。
みなさんの組織では、マネジメントのパラダイムチェンジは進んでいるでしょうか。
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