心理的安全①|心理的安全とは?――「安心」から「学習」へ【組織開発】

学びのポイント
- 心理的安全とは、「安心していられること」ではなく「リスクを取れるという共有信念」である。
- 心理的安全が求められる背景には、効率志向から学習志向への転換がある。
- 心理的安全をつくるのは、制度ではなく、日々のマネジメント行動である。
昨今、心理的安全という言葉は、組織運営やマネジメントにおいて、必須のキーワードとしてすっかり定着してきた感があります。
しかし、日本では「心理的安全」という言葉が独り歩きし、誤解を生んでいる向きもあるようです。
今回は、エドモンドソンの主張を確認しながら、その意味と具体的な実現方法について紹介します。
心理的安全とは?
心理的安全とは「チームの中でリスクを取っても不利益を受けないという、チームメンバーに共有される信念」であり、意見・質問・試行錯誤が安心してできる状態を指します。
この概念は、アメリカの心理学者エイミー・C・エドモンドソン(Amy C. Edmondson)が1999年に発表した論文の中で提唱されました。
しかし、心理的安全は単に「居心地がよい」「自分らしくいられる」ということだけを意味するものではありません。
ある若手ビジネスパーソンに「心理的安全はどんな意味で使われるのか」と尋ねたところ、「自分らしく居られる環境づくり」といった答えが返ってきました。
たしかに「自分らしく居られる場」は大切ですが、エドモンドソンが示す意味は「自分らしく居られる場」とは異なります。
参考:恐怖は学習意欲を阻害する|ダイヤモンド・ハーバードビジネス・レビュー2008.10.10
心理的安全が求められる背景
彼女の主張の背景には、「効率志向の組織から学習志向の組織へ変わっていかなければ、知識経済が主流となる競争環境には勝てない」というものがあります。
知識経済では、従来の「効率よく正しく処理する」だけでは競争に勝てません。
エドモンドソンは、効率志向が強すぎると以下が起こると指摘します。
- 新しい知識への適応が遅れる
- 実験・検証が避けられ、学習が止まる
- 失敗を恐れ、発言や提案が減る

効率を重視しすぎることで失われた「新しい挑戦」
日本を代表する自動車会社2社でも、同様の課題を抱えているという話を聞いたことがあります。
いずれの会社でも、リーマンショック前の北米市場が好調だった時期について、次のような声が聞かれました。
「現場は納期最優先になり、柔軟なコミュニケーションや新しい挑戦が失われた」

心理的安全は、マネジメントでは必須、あるいは当たり前と考えられてきた「効率化」の意味や影響を、改めて問い直すきっかけでもあるのです。
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