組織開発の実践①|組織開発って何?

株式会社Being and Relation(ビーイング リレーション)コラム シリーズ5では、個別の技法を紹介するのではなく、組織開発は何に役立つのか、そして何からどのように始めるのかを紹介していきます。
学びのポイント
- 組織の停滞は「人の意識」ではなく「組織の構造」が原因である。
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プロローグ|昨日と同じ一日が、今日も始まる
「おはようございます」
挨拶と共に一日が始まる。
社長の鈴木がオフィスに入ると、いつもの席、いつものメンバー、いつもの業務が淡々と動き始める。
メールを返し、ルーティンの会議に出て、決められた手順をこなす。業績は悪くない。
しかし、経営の視点で見ると、別の現実が浮かび上がる。社員は真面目に働いているのに、新しい挑戦が生まれてこない。
改善のアイデアも、新規の提案も、未来への一歩も、日常の忙しさの中に静かに埋もれていく。
このままでは、昨日と同じ一日が、明日も続くだけだ。漠然とした危機感が鈴木に芽生えて、もうどれほど経つのだろうか。
人事の山田部長は、パソコンに向かいながら考えている。今日もメールと会議で一日が終わる。
「前任の佐藤部長から引き継ぎ、何とか挑戦する風土に変えていかなくてはとは思うが、どこから始めればいいのか分からない……。」
経営者は「挑戦の火をつけたい」と願い、部長は「火をつけるきっかけがほしい」と願っている。同じ静かなオフィスの中で、互いの願いはすれ違ったまま届かない。
「挑戦が生まれない組織の構造」とは
このギャップは、意識の問題ではありません。 個人の能力の問題でも、 誰かが怠けているわけでもありません。
原因は、「挑戦が生まれない組織の構造」そのものにあります。
【「挑戦が生まれない組織の構造」の例】
- 既存業務が優先される仕組み
- 忙しさの中で余白が生まれない働き方
- 挑戦が評価されにくい文化
- 新しい提案が埋もれる意思決定プロセス
「挑戦が生まれない組織の構造」の中では、 どれほど優秀な人材がいても、 挑戦したい気持ちがあっても、 変化は生まれません。
静かな停滞は、誰のせいでもありません。構造を変えない限り、未来は動き始めないのです。
構造を変えるためには、単発の研修やトップの掛け声だけでは実現できません。人の意欲ある行動を阻害する組織のあり方を見直すことが必要であり、それが組織開発です。
組織開発とは
組織開発という名称には、多くの活動が含まれています。
近年は、適応範囲の広がりや新しい手法が出てくるに及び、組織開発を厳密に定義することはあまり意味がないようにも思います。
実務家はより良い組織や職場をつくる取り組みに腐心しているため、状況に合わせて適切な理論や介入技法を選択する必要があります。
ただ、外してはならない一点があります。
それは、組織の行動基盤になっている「基本的前提、あるいは価値基準」を変えることです。
構造とは組織を動かすOS(Operating System)である
組織を動かす構造は、大きく「見えない前提」と「見える仕組み」の2つから成り立っています。これは組織を動かすOS(Operating System)と言っても良いでしょう。
見えない前提とは、人々の判断や行動の基盤となるものです。
【見えない前提】
- 組織運営の基本的前提
- 価値基準
など
一方、見える仕組みとは、組織運営を支える具体的な制度や仕組みを指します。
【見える仕組み】
- 会議のあり方
- 権限の配分
- 評価制度
- 意思決定の方法
- 情報共有の仕組み
など
ケース:あるコンサルタントの体験
私は、品質不良や納期遅延が問題となっている会社に対して、チーム・ビルディングを柱とする改善を実施してきた。
9か月経った頃に、この組織の人々の行動を変革し、問題解決行動に移行させるには、チームに対する報酬制度が必要であることが分かった。
現行の個人の成果を重視する報酬制度は、現社長が何年も前に創案し採用したものであり、社長はその報酬制度の根底にある考え方を変えることなどみじんも考えていなかった。
契約は終了となり、品質不良や納期遅延の問題は、根本的に解決されないままに終わったのである。
人の行動は構造の影響を受けている
このケースでいえば、報酬制度は「見える仕組み」です。
しかし、その制度の背景には、「何を評価すべきか」「人は何によって動機づけられるのか」といった経営者の考え方があります。これが「見えない前提」です。
人は怠けているのではありません。人の行動は構造の影響を受けています。
だからこそ、構造が変われば、人々の行動も変わり、組織は動き始めるのです。
このような考え方に立ち、「組織開発とは、組織を動かす構造に働きかけ、人々の行動が自然に変わることで、組織の成果を高めていく取り組みである」と捉えることができます。
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