組織開発の実践②|研修と組織開発は何が違うのか?

学びのポイント
- 研修は組織開発の一部であり、研修単体では変化は定着しない。
- マネジメントの課題は関係性の中で起きている
「研修と組織開発は何が違うのか?」
このような疑問を持つ人は「個人だけを変えても、何か足りない」と感じているのだろうと思えます。
解決したい課題が「個人の能力不足」では説明しきれないなら、組織開発的なアプローチも有効です。
結論から言えば、研修と組織開発を明確に線引きする必要はありません。
組織開発の方法論の中には、「個人の能力開発」や「研修」という方法も含まれます。
「研修をたくさん実施することは、組織開発ではない」という人もいますが、研修も、組織開発を成功させるための有力な手段です。
ケース:英国航空~顧客を理解したサービスを実践できる会社へ
英国航空は民営化に際し、当時のCEOであるコーリン・マーシャルのもと、全社員を対象とした研修を2年間かけて実施した。
「良いサービスには、お客さまのニーズを感じ取ることが大切」という信念から、「ThinkからFeelへ」をキャッチフレーズに掲げた研修だ。
それまで官僚的な組織で仕事をしてきた従業員にとっては、顧客対応の質を高める上で必要な訓練だった。
研修のポイントは「短期間で、組織メンバー全員に実施すること」
組織開発が組織に対する意図的働きかけでであるなら、組織を構成する人々に対して「研修という方法」を通して、従来のものの見方や考え方を変えていくアプローチを選択するのは理に適っています。
さらに、短期間に組織メンバー全員に実施することが重要です。
しかしそれだけでは一過性の意識変革で終わってしまいかねません。
したがって、新しい考え方と行動を定着させていくには、評価制度や業務プロセス、あるいは情報システムを革新します。
では、マネジメント力向上といったテーマは、研修の対象なのでしょうか。それとも、組織開発の対象なのでしょうか。
これも、ケースで考えてみましょう。
ケース2.C社のマネジメント改革
C社では、訪日客による「爆買い」を背景に市場の拡大が見込まれる中、設計部門で中途採用を進め、受注量の拡大を目指していた。
しかし、思うように成果にはつながっていなかった。
社長が課題として捉えていたのは、設計部門のマネジメントだった。中途採用者を増やしてきたものの、個人で仕事を進める傾向が強く、メンバー同士が協働して業務に取り組む体制をつくれていなかった。また、そうしたメンバーを束ねる管理者も不足しており、親会社から管理者人材を招いたものの、それだけでは十分な改善には至っていなかった。
今後さらに受注拡大が見込まれる中、設計部門のマネジメントにテコ入れする必要がある。これが、当時の社長の問題意識だった。
設計部門の課題を、組織全体の関係性から捉え直す
では、このような状況に対して、皆さんならどのようなアプローチを選択されるでしょうか。
実際の支援では、まず関係者へのインタビューを行い、その結果をもとに対話の場を設けていきました。
①インタビューを通じて、現状を把握する
まず、設計部門のメンバーが現在の状況をどのように捉えているのかをインタビューしました。
あわせて、他部門のメンバーにも話を聞き、設計部門が周囲からどのように見えているのかを把握していきました。
② データフィードバックと対話を通じて、課題を共有する
次に、インタビューから見えてきた内容を社長に報告し、「データフィードバックと対話」によるアプローチを提案します。
その後、計4回のワークショップをおこないました。
初回は、当事者である設計部門のメンバーが一堂に会し、自分たちが置かれている状況を整理しました。
2回目以降は他部門の部課長にも参加してもらい、部門間の関係性へと議論を広げていきます。
対話を重ねる中で、設計部門が抱える問題は、設計部門だけで完結するものではなく、他部門との関係性にも起因していることが共通認識となりました。
さらに、設計部門の生産性を高めるには、営業部門の受注のあり方そのものを見直す必要があることも明らかになります。
こうして問題の構造が共有されたことで、資材部門や生産部門を含め、それぞれの部門がどのように動くべきかについても理解が深まっていきました。
マネジメントは「人をどう扱うか」が本質
「受け身の姿勢」になっていた設計部門のメンバーは、次第に「どうすればよいか」「こうしたい」といった意見を、営業部門や生産部門に主体的に提案するようになりました。
また、チームの協働性を高めていく過程で、メンバー同士がこれまで表明してこなかった気持ちを言葉にし、話し合う機会が生まれました。
その結果、信頼関係が醸成され、変化への対応力も高まっていきました。
ドラッカー流にマネジメントを定義するならば、マネジメントとは、「組織をして成果を上げさせるための社会的機能」です。
組織は「人間の営み」であり、「人が目的を実現するための場」です。
つまり、マネジメントの本質は「人にどう関わるか」にあり、それは実際の職場でこそ学ばれるものです。
管理者研修はマネジメント力の向上に役立ちます。一方で、職場のメンバーが全員集まって問題解決に臨む取り組みは、現場ニーズに合ったマネジメント力の向上につながります。
研修は、変化の「火種」をつくる重要な手段です。その火を組織全体に広げ、定着させるには、構造や関係性にも働きかける必要があります。
研修をやっても効果がないのであれば、組織開発のアプローチが役に立ちます。株式会社Being and Relation(ビーイング リレーション)は研修後の定着まで設計します。
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