組織開発の実践③|組織開発をどのように始めるか

学びのポイント
- 組織開発は「立ち上げ方」が成否を決める。
- 小さな成功例は組織の「変化の物語」となり、全社に伝播する。
- 設備や制度の変更も組織開発の一部である。
組織開発の手法については、最近は数多くの文献によって紹介され、多くの人がその方法論については知ることができるようになってきました。
しかし、肝心要のところが抜け落ちています。それは、どのように立ち上げるか、そしてそれをどのように持続させるかです。
ケースをもとに、取り組まなければならないことの例を確認しましょう。
1. 経営課題に結び付ける
組織開発という言葉は、経営の中ではほとんど使われない言葉です。
実施にあたっては、挑戦すべき「経営課題」を明確にして、それを解決する方法として取り組むことが必要です。
たとえば、JR九州が民営化された当時、サービス文化を醸成しないと競争に勝てないという認識のもとに、SS運動(セーフティ&サービス運動)が実施されました。
セーフティ(安全)は、説明の必要がないほど分かりやすい概念です。一方、「サービス文化を醸成する」とは具体的に何を指すのか、理解しにくい面があります。
そこで、サービス向上がお客様にどの程度支持されているかを測る具体的な指標として、「1日あたりの乗客数の増加」を設定しました。。
2. 協力者を見つける
組織を変えようとする際、賛同者や協力者をつくることが重要です。協力者を探す場合は、2つの軸から周囲を見回してみましょう。
A. 信頼軸:人望があり頼りになる。
B. 同意軸:考え方や思想が同じ。
協力者とは、考え方や思想が同じであり、頼りになる人です。
さらに、もう一人、ぜひ味方に引き込みたいのが「人望があり頼りになるが、意見が異なるあなたのライバル」です。
考え方を共有できる協力者と、意見は異なっても信頼できる協力者の双方を巻き込めれば、変化の推進力はさらに高まります。
3. 対面でのコミュニケーションを実施する
組織内で影響力を持つ人の協力を取り付けることができれば、現場説得に力を借りましょう。
SS運動当時のJR九州の社長は、サービス文化を根付かせるために支社・拠点ごとに、トップキャラバンという名のもとに「ひざ詰め対話」を実施しました。
4. 小さな成功例を提示する
組織開発を成功させるには、小さな成功例の提示が役に立ちます。
JR九州は、SS運動当時お金がありませんでした。そこで、駅ごとの小さな工夫による成功例を全社に紹介していったのです。
- 無賃乗車撲滅のために「助けてくださいキャンペーン・ポスター」をつくって高校に「貼ってください」とお願いに行った。
- 切符自販機が1台しかなくいつも人が並んでいるN駅で、発車5分前に「この列車に乗る方は先に切符を販売します」とアナウンスした。
- O駅では、改札の駅員に「案内係」という腕章をつけてもらった。これだけでお客さんは尋ねやすくなる。腕章をつけた駅員にはサービスに対する自覚が生まれる。
5. 設備や制度も組織開発の推進に役に立つ
組織開発は、人に対する働きかけとはいえ、設備や制度の改善や変更も大切です。
- 新型車両を導入する。客室サービス担当のキャビンアテンダントでサービスが変わったことをお客様にアピールする。(キャビンアテンダントは、後の「ななつ星in 九州」につながる)
- 組織のフラット化、組織の統廃合、仕事のやり方見直し、人事評価制度の見直し、スタッフ部門の支援意識の醸成などを実施する。
- サービス事故制度を導入し、お客の苦情があればすぐにサービス課にFAX(当時)を入れる制度。サービス課はすぐに各署に連絡して問題解決する。
- これらの複合的な取り組みで、持続的な変化・競争力の向上が実現していくのです。ただし、気を付けなくてはならないのは、設備や制度変更だけでは組織は変わらないということです。
変化は、壮大な計画からではなく、小さな成功例から始まる
組織の変化は、壮大な計画からではなく、小さな成功例から始まります。小さな一歩が、組織の未来を動かすのです。
もちろん、会社によって最初の一歩は違います。
株式会社Being and Relation(ビーイング リレーション)では現状を診断し、その会社に合った立ち上げ方を一緒に設計しています。
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